船が空に浮いて見えるほどの透明度と、1,200種以上の魚たちが暮らす豊かな海。全国のダイバーの憧れとして知られる柏島で、里海づくりに取り組む黒潮実感センター。そのアオリイカオーナーズクラブから届いたアオリイカを楽しむ会を開催しました。
イカの王様と称されるアオリイカに合わせる土佐酒は1603年創業の司牡丹酒造のラインナップ。420年以上にわたり土佐の食文化とともに歩み続ける酒蔵です。今回は蔵人の竹村元希さんにアオリイカの素材の良さを生かす銘柄の選定をお願いしました。
アオリイカオーナーズクラブと黒潮実感センターの取り組み
アオリイカオーナーズクラブは、アオリイカの産卵床設置などを通じて、豊かな海の恵みを未来へつなぐ里海づくりに取り組む活動です。
今回いただいたアオリイカは、この活動を推進する黒潮実感センターの生物学者・神田優先生から届けていただきました。
黒潮実感センターは、船が空に浮いて見えるほど透明度が高く、1,200種以上の魚が確認される全国のダイバーの憧れ・柏島を拠点に活動しています。神田先生は資源保全活動だけでなく、大月小学校でアオリイカの観察授業を行うなど、海の豊かさを次世代へ伝える活動にも力を注いでいます。
(画像はいずれも「黒潮実感センター」のWEBページより引用)

ダイバーが間伐材を海底に固定してアオリイカの産卵床に

宙に浮いているように見えるほど透明な海

多様性の宝庫の柏島も温暖化の影響かサンゴの白化が進んでいる
アオリイカを楽しむために集まった人たち
今回の会場となった十刻では、大将と美加店長がアオリイカ一杯を余すことなく味わうための料理を用意してくださいました。
美加店長は土佐酒アドバイザーであると同時に、「日本さかな検定(ととけん)」2級の資格を持つ魚好き。旬の魚介類と土佐酒の魅力を熟知しています。

十刻の大将と美加店長が仕立てるアオリイカ尽くし
- 突き出し
- 木の芽味噌

- 贅沢お通し三種盛り
- アオリイカのお刺身
- アオリイカのなめろう昆布締め
- 沖漬け風

- ゲソバター特性ソース

- エンペラと野菜の天ぷら

- イカ墨と花ニラの中華風

- 細巻き2種&鯖押し鮨

今回改めて驚かされたのは、同じアオリイカでも調理法によってまったく異なる表情を見せてくれたことです。
木の芽味噌和えでは上品な甘みと春らしい香りをまとい、刺身ではねっとりとした食感と濃厚な旨味を楽しませてくれます。
昆布締めでは旨味がさらに深まり、沖漬では酒肴としての存在感を発揮。
さらに、エンペラの天ぷらやゲソのバターソース炒めでは、加熱によって引き出されたふっくらとした食感と力強い旨味が際立ちました。
そして今回のコースの中でも圧巻だったのが、イカ墨とハナニラの中華風炒めです。
アオリイカの墨が持つ濃厚なコクと旨味に、ハナニラの爽やかな香りとほのかな苦みが絶妙に調和。
和食を中心としたコースの中でひときわ個性的な存在感を放ちながらも、アオリイカの新たな魅力を引き出していました。
身やゲソだけでなく、墨までも余すことなく活かす十刻ならではの一皿に、参加者からも感嘆の声が上がりました。
一杯のアオリイカから、これほど多彩な味わいが生まれることに、参加者一同あらためてその奥深さを実感しました。
そしてこの日はアオリイカとともに土佐清水の名物・清水サバも楽しみました。
清水サバは、一本釣りで漁獲されたゴマサバを「サバダッシュ」と呼ばれる独自の方法で活かしたまま港へ運び、鮮度を極限まで保つことで知られています。
そのため、一般には難しいとされるサバの刺身を安心して味わうことができます。
この日は、美加店長がわざわざ土佐清水まで足を運んで仕入れた清水サバが登場。
産地の魅力を知り尽くした店長だからこそ実現できる、贅沢な一品でした。
- もっちもちの清水サバのお刺身

司牡丹・竹村元希さんが選んだ8種類の土佐酒
今回、アオリイカに合わせる土佐酒は、佐川の地で400年以上にわたり辛口の酒を醸し続ける司牡丹酒造の竹村元希さんがセレクトしてくださいました。
さらに、浅野杜氏おすすめの「土佐麗」、そして「司牡丹を楽しむ会」推薦の「雙龍觥玉(そうりゅうかんぎょく)」も加わり、合計8銘柄という豪華なラインナップとなりました。

香りと味わいが異なる8銘柄が勢揃い
夏にぴったりの零下生酒の純米大吟醸をはじめ、純米酒、生酒、本醸造まで、これほど幅広い司牡丹の銘柄を一度に味わえる機会はなかなかありません。
同じ司牡丹でありながら、それぞれに異なる個性があり、料理との組み合わせによって新たな魅力が引き出されることを実感しました。
参加者の皆さんもそれぞれお気に入りの一杯やペアリングを見つけながら土佐酒の奥深さを楽しんでいました。
アオリイカの繊細な甘み、清水サバの豊かな旨味、そして個性豊かな土佐酒。
それぞれが響き合うことで食と酒の新たな魅力を発見するひとときとなりました。
ペアリング銘柄
- 我唯足知(われただたるをしる) 純米大吟醸
- 封印酒(ふういんしゅ) 純米吟醸
- 雙龍街玉(そうりゅうかんぎょく)純米吟醸
- 土佐麗(とさうらら) 純米吟醸
- 船中八策(せんちゅうはっさく) 零下生酒 純米
- 無濾過純米酒
- 二割の麹が八割の味を決める
- 土佐の超辛口 零下生酒
今回、参加者の皆さんには、料理ごとのペアリングの印象を専用のメモに記入していただきました。
どの銘柄が人気を集めるのか結果を楽しみにしていましたが、「全部美味しい」「気に入った組み合わせが多すぎて選べない」「料理によって相性の良いお酒が変わるので甲乙つけがたい」といった感想が多かったです。
同じアオリイカでも、お料理によって相性の良いお酒が異なります。
また、どの組み合わせがいいかは人それぞれ。
その違いを語り合うことも、今回の会の大きな楽しみの一つでした。
ペアリングに唯一の正解はありません。
だからこそ、自分だけのお気に入りの組み合わせを見つける楽しさがあることを、改めて実感したひとときでした。

「どれも美味しい」「全部美味しい」「どれがいいかまったく選べない」の声多数!
マニアックなアオリイカ〇×クイズ
会の後半では、「アオリイカ〇×クイズ」を行いました。
これは参加者の皆さんの飲みすぎ防止を兼ねたクールダウンタイムでもあります。
「イカの血の色は青い」「イカには心臓が3つある」「イカの中には数十メートルも飛ぶ種類がいる」といった生き物としてのイカに関するものから、「レオナルド・ダ・ヴィンチが愛用したセピア色のインクの原料となったイカ墨はどのイカのものか」といった文化にまつわるものまで幅広く出題されました。
サービス問題では、司牡丹の創業年や桂浜水族館の歴史、そして全国のダイバーの憧れ・柏島の魚種の豊かさについても出題。
参加者の皆さんは料理やお酒を楽しみながらも、真剣な表情で問題に挑戦していました。
「アオリイカ〇×クイズ」はこちらからでもチャレンジできます!


最後ははし拳も始まってすべてのお酒が無くなってしまいました(笑)
アオリイカの生態や食文化について知ることで、目の前の一皿がより味わい深く感じられたかもしれません。
そして見事上位に入賞した方には、司牡丹酒造からご提供いただいたロゴ入りオリジナルグラスと、桂浜水族館で販売されているオリジナル土佐酒が贈られました。
今回の参加者
今回は、土佐酒アドバイザーの皆さんをはじめ、土佐酒の原料米の精米を担う地域商社こうちの社長、高知酵母開発の第一人者である上東博士、さらには輸出促進を担う県の担当者の方もご参加くださいました。
山、川、里、海。
米、水、酵母。
獲る人、醸す人、調理する人、食べる人。
それぞれの分野で高知の食文化を支える人たちが集まり、アオリイカと土佐酒を囲みながら語り合う、たいへん贅沢な時間となりました。
Kampai Pairingを楽しむ会は、これからも旬の食材と地域の酒を通じて、その土地ならではの食文化を探求していきます。

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