5月18日に高知市の55番街の「おばんざい 魚酒 晴家(はるや)」で「土佐酒と春の旬肴ペアリング会」を開催しました。
テーマは全米日本酒鑑評会2024で金賞数&金賞率日本一を達成した土佐酒と春の旬の海の幸、山の幸とのペアリングを楽しむというもので、普段から日本酒とお刺身の組み合わせが大好きという日本酒愛好家の皆さんにご参加頂きました。
中には、土佐酒アドバイザーや日本酒利き酒師の方やフードカメラマンといった「食」に携わる方々も!

全米日本酒鑑評会で受賞した全9蔵の9銘柄をセレクト
全米日本酒鑑評会2024には9蔵が出品し、なんと、全ての蔵が受賞するという快挙を達成しました。
また、27銘柄中26銘柄が受賞という圧倒的な入賞率で、土佐酒のレベルの高さを証明しました。
今回はその中から各蔵の特徴がよく出ている県民によく飲まれているものを、高知県酒造組合の顧問の上東治彦先生に1銘柄ずつ、計9銘柄をセレクトしていただきました。
- 土佐鶴 純米大吟醸 tosa urara (大吟醸B部門 金賞)
- 亀泉 純米吟醸 吟麓 (吟醸部門 金賞)
- 美丈夫 特別純米酒 (純米A部門 金賞)
- 司牡丹 二割の麹が八割の味を決める (純米B部門 金賞)
- 無手無冠 特別純米酒 (純米A部門 銀賞)
- 酔鯨 純米大吟醸 山田錦 50% (大吟醸B部門 銀賞)
- 豊能梅 いとをかし 純米吟醸 (吟醸部門 金賞)
- 安芸虎 入河内 純米吟醸 (吟醸部門 金賞)
- 文佳人 純米酒 (純米A部門 銀賞)
※大吟醸Bは精米歩合50%以下、純米Aは60%以下、純米Bは60%超

上東先生はCEL24や宇宙深海酵母などのユニークで多種多様な香りを醸す高知酵母をの生みの親で、高知県産の酒米の開発にも尽力し、土佐酒を受賞ラッシュに導いてきた立役者のおひとりです。

土佐酒はスッキリ辛口、でも旨味もしっかり、そしてバラエティに富んでいる!
野球に例えると、売って良し、投げて良し、走って良しの大谷さんレベル !!
by Kampai Pairing を楽しむ会
麹マイスター&だしソムリエの晴家(はるや)店主が春の旬彩をおばんざいに
麹マイスター&出汁ソムリエという「旨味」に強くこだわる晴家(はるや)店主の庄司真智さんに、土佐の春の海の幸、山の幸をふんだんに使ったお料理を11品ご用意いただきました。



魚屋での職人歴もあり、土佐酒アドバイザーでもある「晴家」店主のこだわりの旬肴がならびました。
スナップエンドウのマスカルポーネ白和え
空豆のポタージュ
土佐あか牛のローストビーフ 小夏にんにくソース
生ハムと小夏のサラダ
ピーマンの鰹味噌乗せ
初鰹のお刺身
蛍烏賊とアオサのかき揚げ
宗田節が決め手 フルーツトマトの茶碗蒸し
オクラのピーナツバター和え
春鰤の粕漬け焼き
発酵あんこのバタートースト文旦添え
お酒とお料理の組み合わせの相性をアンケートに
今回は、9銘柄を「華やかタイプ」3銘柄、「穏やかタイプ」3銘柄、「濃醇旨口」3銘柄の3つのタイプに分類し、それぞれのタイプにおすすめのお料理をご提供しました。



お酒とお料理の組み合わせについて専用のアンケートフォームをご用意し、それぞれの相性について伺いました。
料理とお酒の相性の良かった組み合わせTop5
アンケートの結果、相性がよかったとお答えいただいたお酒とお料理の組み合わせのTop5は次のとおりです。
第1位 「スナップエンドウのマスカルポーネ白和え」と「土佐鶴 純米大吟醸 tosa urara」
第2位 「ピーマンの鰹味噌乗せ」と「無手無冠 特別純米酒」
第3位 「土佐あか牛のローストビーフ 小夏にんにくソース」と「亀泉 純米吟醸 吟麓」
第4位 「初鰹のお刺身」と「無手無冠 特別純米酒」
第5位 「土佐あか牛のローストビーフ 小夏にんにくソース」と「美丈夫 特別純米酒」



料理との相性の良かった銘柄Top5
アンケートの結果、お料理との相性の良かったとお答えいただいた銘柄のTop5は次のとおりです。
第1位 「無手無冠 特別純米酒」
参加者の方の日本酒単体でのイチオシ度合いはそれほど高くはなかったものの、生ハムと小夏のサラダ、ピーマンの鰹味噌乗せ、初鰹お刺身、蛍烏賊とアオサのかき揚げの全てのお料理との相性について高く評価されました。
第2位 「美丈夫 特別純米酒」
日本酒単体でのイチオシ度合いは高くはなかったものの、スナップエンドウ、空豆のポタージュ、土佐あか牛のローストビーフの全ての相性が高く評価されました。
第3位 「土佐鶴 純米大吟醸 tosa urara」
単体でのイチオシ度合いも高く、スナップエンドウのマスカルポーネ白和えのお料理との相性は、今回の組み合わせの中で最も高く評価されました。
第4位 「亀泉 純米吟醸 吟麓」
単体でのイチオシ度合いは低いながらも、土佐あか牛のローストビーフなどとのお料理との相性が評価されました。
第5位 「司牡丹 二割の麹が八割の味を決める」
単体でのイチオシ度合いは低いながらも、どのお料理にも合うオールマイティさが評価されました。
注目の3銘柄
お料理との相性の評価はそれほど高くはなかったものの、日本酒単体でのイチオシ度合いが高かったものやグッドペアリングの投票が多かった3銘柄は次のとおりです。
注目度 第1位 「豊能梅 いとをかし 純米吟醸」
特に「発酵あんこのバタートースト 文旦添え」 との組み合わせには多くのグッドペアリング投票がありました。
注目度 第2位 「文佳人 純米酒」
お料理との相性の評価はそれほど高くはなかったものの、日本酒単体でのイチオシ度合いが高く、「宗田節が決め手 フルーツトマトの茶碗蒸し」との組み合わせにはグッドペアリング投票がありました。
注目度 第3位 「酔鯨 純米大吟醸 山田錦50%」
日本酒単体でのイチオシ度合いはそれほど高くはなかったものの、「生ハムと小夏のサラダ」や「蛍烏賊とアオサのかき揚げ」などとの組み合わせにグッドペアリング投票がありました。
世界で受賞ラッシュの土佐酒の秘密に迫りました

2024年は国内はもとより、イギリス、フランス、イタリア、オーストラリア、カナダ、アメリカ、香港と国内外合わせて16のコンテストで103個のメダルを受賞した土佐酒ですが、全米日本酒鑑評会2024では金賞数1位&金賞率1位を達成し、見事日本一を証明しました。
なぜ土佐酒がそのような高い評価を受けるようになったのか、高知酵母生みの親である高知酒造組合顧問の上東先生に解説をしていただきました。
土佐酒のおいしさのヒミツ!
土佐酒が世界で入賞し始めたのにはいくつかのヒミツがありました。
そのなかでも注目すべきは「なかま」というキーワードです。
土佐ではシェアすることを「なかま」といいます。土佐流の宴会「おきゃく」では酒も肴も、時間も空間も、みんなで楽しくシェアをして、すぐに仲間になれるようにワイワイガヤガヤ「なかま」しているんです。
1.「杯をなかま」
酸味がしっかりあって飲みごたえがあり、雑味が少なく後口がきれいな辛口の土佐酒は飲み飽きることがなく、ずっと杯を「なかま」にしていける酒質です。
2.「食となかま」
土佐の四季折々の山川海の幸の食材の良さと「なかま」になる奥ゆかしい酒質です。
3.「技をなかま」
高知では高知県工業技術センターが県内19酒造場のもろみを毎週月曜日に分析し、そのデータを全蔵で情報共有しています。
成功例も失敗例も「なかま」にすることで各蔵が多くのことを短期間で学び、個性を活かしながらの造りに役立てています。
4.「人となかま」
「飲み飽きない」「食材の良さを引き立てる」「技術レベルの高い」なかま方式で醸された土佐酒は最高のコミュニケーションツールとして、集った皆々をあっという間に「なかま」にしていきます。

1.酒造に適した高知県産のお米の開発
2.多種多様な香りを醸し出す酵母
3.海洋深層水、宇宙酵母などのユニークな原料
4.高知県工業技術センターで高度な分析
5.分析データを全19酒造場で情報共有
6.全19酒造場がTOSANAKAMA19として土佐酒をPR
7.国内・国外の品評会での好成績
8.日本酒の多様性を守るために甘味別審査方法を提案
9.高知ならではのリキュールの開発
そして、もう一つ重要なキーワードは「グルコース別審査法」を提唱し、採用されたことです。
飲み込まずに多数を審査する方法では甘味の強いお酒が有利になりがち。
もともと甘口ではなかった地域もコンテストのために甘口のお酒を作るようになっていました。
甘いお酒のあとに土佐の辛口酒が続くと、「荒い」「身うすい」「渋い」と、いい評価が得られない傾向が続いていました。
そこで、「グルコース別審査法」を提唱したところ、地域性が失われていく日本酒の未来を危惧した審査員なかまの後押しを受け、2016年のサケコンペティションを皮切りに、全国新酒鑑評会は2017年から、全米日本酒鑑評会は2021年から、あらかじめチェックをし、グルコースの低い順に審査をする「グルコース別審査」が採用されることになりました。
それ以来、土佐酒は日本一グルコースの少ない辛口のお酒の代表として、数々の賞を受賞するという成果に繋がっています。
高知新聞に取材していただきました
当日は高知新聞の報道部の横田さんに取材をしていただきました。

「高知でないと楽しめないペアリングを発信したい」
「高知の歴史や伝統も含めて訪日客にアピールしていきたい」
Kampai Pairingを楽しむ会の想いを丁寧に取材していただきました。
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まとめ
今回は金賞数&金賞率日本一に輝いた全米日本酒鑑評会の受賞酒の中から、数々の高知酵母の生みの親である上東先生にセレクトしていただいた普段からよく飲まれている9銘柄を、発酵マイスター&出大ソムリエの晴家(はるや)店主の庄司さんに用意していただいた春の海の幸、山の幸との組み合わせを楽しんでいただく会となりました。
次回は土佐酒と夏の旬肴との組み合わを楽しむ会を企画しますのでお楽しみに!!
おばんざい 魚酒 晴家(はるや)
18:00-24:00 (日・月 定休) TEL 088-802-3220
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