江戸時代(1603〜1868)、日本は約260の藩によって治められており、それぞれが半独立国家のような存在でした。
交通の便も悪く、他藩との交流は制限されていたため、地元でとれる食材を中心とした食生活が発展しました。

例えば、
越前藩(福井)では、カニ料理や魚醤で発行させたへしこや
薩摩藩(鹿児島)での黒豚料理やさつま汁
津軽藩(青森)では魚のアラを煮たじゃっぱ汁などです。

多くの藩は、財政を支えるために特産品の奨励を行いました。
その結果、地域の名物や保存食が育ち、郷土料理として定着しました。
例えば、
仙台藩では伊達政宗が味噌・醤油・牛肉(現在の仙台牛)を奨励したり
紀伊藩(和歌山)では梅干しや鰹節の生産が盛んになったり
秋田藩では米と発酵文化を活かした「いぶりがっこ」「きりたんぽ鍋」が生まれました。

各藩が置かれた場所の自然条件(海・山・川・雪など)も、使用する食材や調理法に強く影響しました。
例えば、
雪国の保存食文化としては山形の干しぜんまい、信州の野沢菜漬けなどの干し物や漬物が数多く
内陸では岐阜の朴葉味噌、長野の五平餅など、山菜やキノコを使った食文化が発達しました。

江戸時代の藩制度がなければ、これほどまでに多様な郷土料理は生まれなかったかもしれません

現在も同じ市町村でも、山を超えるたびに、浦を渡るたびに名産品や郷土料理が変わるのはその名残といえるでしょう。

そんな地域ごとのバラエティに富んだ食文化の歴史や文化をひもときながら真のガストロノミーとはなにかを考えていきたいと思います。

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